「非正規雇用」タグアーカイブ

「正規と非正規で年315万円の差 格差拡大」だそうです。

 

 企業の正規雇用と非正規雇用の人が2016年に受け取った平均給与の差は315万円で、4年連続で差が広がっていることが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。人手不足などを背景に賃金水準が上がる中、正規と非正規の格差は拡大している。

約2万1千カ所の事業所を抽出調査した。平均給与(平均年齢46・0歳)は422万円で、4年連続で上昇したが、正規(役員らを除く)の487万円に対し、非正規は172万円で、315万円の開きがあった。

正規と非正規を分けて統計を取り始めた12年は、差が300万円だった。その後、4年間で正規の平均給与が19万円上昇したのに、非正規は4万円の上昇にとどまり、差が広がった。

業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が769万円で最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」が234万円で最も低かった。

(引用:朝日新聞デジタル(http://www.asahi.com/articles/ASK9Y2W2PK9YUBQU008.html))

 

「契約社員格差訴えた裁判 一部不合理な格差認める」だそうです。

 

日本郵便で配達などをしている契約社員が、正社員と業務が同じなのに手当などに格差があると訴えた裁判で、東京地方裁判所は、一部の手当などについては正社員との間に不合理な格差があると認め、日本郵便に対して90万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。

日本郵便の東京と千葉、それに愛知の郵便局で勤務している契約社員3人は配達や集荷など業務の内容が正社員と同じなのに、外勤や年末年始の勤務の手当のほか利用できる休暇制度にも差があるとして、正社員の手当との差額の支払いなどを求める訴えを起こしました。

裁判では正社員との待遇の差が労働契約法で禁止されている「不合理な格差」にあたるかどうかが争われました。
14日の判決で、東京地方裁判所の春名茂裁判長は繁忙期の年末年始に働いた時の手当と勤務地が限定されている正社員にも支払われている住居手当については「契約社員に全く支払わないことに合理的な理由はない」と指摘し、3人に合わせて90万円余りを支払うよう日本郵便に命じました。
また夏と冬の休暇と有給の病気休暇についても「契約社員だという理由だけで制度がないのは不合理な違いだ」と認めました。

一方、外勤手当など6つの手当については「職務の内容が正社員と異なっている」などとして訴えを退けました。

原告の男性「非正規で働く人に意義ある判決」

判決のあとの会見で原告の契約社員の男性は「年末年始の年賀状配達の仕事では正社員と全く同じ仕事をしてもパートや非正規社員だけは何の手当もなく、許せませんでした。今回の判決は非正規で働く人にとってとても意義があるものだと思います」と話していました。
また原告側の代理人の弁護士は「日本の非正規労働者の未来に希望の光をともす、大きな意義のある画期的な判決になった。一方で認められなかった手当もあり、その点については不服なので控訴したい」と話していました。

日本郵便「詳細確認のうえ対応決めたい」

判決について日本郵便は「判決内容の詳細を確認したうえで、今後の対応を決めたい」というコメントを出しました。

正社員と非正規社員の格差議論に一石

正社員と非正規社員の待遇の差をめぐる裁判では、裁判所は、手当などの性質を個別に検討し、「不合理な格差」があると認められるものについては是正を求めています。

労働契約法は平成25年4月に改正法が施行され、正社員と非正規社員の業務の内容や責任の程度の違いといった事情を考慮したうえで、「不合理な格差」を設けることが禁止されました。

各地で起こされている裁判で、裁判所は、労働条件に一定の差を設けることは認めたうえで、その差が不合理なものかどうかを個別に判断しています。このうち滋賀県の契約社員の運転手が起こした裁判では、大阪高等裁判所が、正社員にだけ支給される手当の性質を1つ1つ検討し、「無事故手当」や「通勤手当」など4つについては格差が不合理だと認め、契約社員にも支払うよう命じました。

14日の判決でも、裁判所は、年末年始の勤務の手当については、「繁忙期に働くことに対して支払う」という性質に照らして、正社員と契約社員の間に差を設けるべきではないと判断しました。また住居手当についても、正社員の中には勤務地が限定され、異動に伴って引っ越しをする必要がない社員もいることを指摘し、契約社員にも支払うべきだと判断しました。

今後も同様の裁判で手当などの性質によって格差を認めない判断が示される可能性があり、正社員と非正規社員の格差をめぐる議論に一定の影響を与えるものと見られます。

 

「同一賃金、待遇差で企業に説明義務 厚労省が論点整理」だそうです。

厚生労働省は8日、同一労働同一賃金の詳しいルールを話し合う有識者検討会に論点整理案を示した。正社員と非正規社員の待遇差を説明する義務を「強化・拡充する必要がある」と指摘。給与や福利厚生などで差がつく理由を、事前に社員に説明するよう企業側に求めた。各企業は賃金体系や研修に関する情報を、非正規社員とも共有する必要に迫られそうだ。

同じ仕事をしていれば同じ賃金を払う同一労働同一賃金は、政府が掲げる「働き方改革」の柱の一つ。昨年末には、政府が正社員と非正規社員の不合理な待遇格差の例を示したガイドライン(指針)案を公表した。

厚労省はこの指針の実効性を高めるため、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の議論を経て、年内に関連法案を提出する方針。今回の論点整理では、法案づくりに向け課題を整理した。

焦点の一つは従業員への説明義務だ。現在のルールでは、企業に自社の賃金制度などについての説明義務は課しているが、正社員と非正規労働者の待遇差の説明までは義務付けていない。

昨年末の指針案では、成果などに応じた合理的な待遇差は認める一方で、合理的でない格差は縮めるよう求めている。格差がある場合でも、その理由を説明して、非正規社員を納得させるよう企業に促している。

そこで論点整理案は、待遇差の説明義務を今よりも強化するよう求めた。政府も働き方改革の関連法案に、待遇差の説明義務を盛り込む方針だ。関連法が施行されれば、企業は「正社員と非正規社員の賃金体系が違う理由」や、「一部の社内研修が正社員しか受講できない理由」などを非正規社員に説明する義務が生まれる。

待遇差を巡って裁判になったときに、その格差の立証責任を誰が負うのかも焦点の一つだ。

今は労働者側が待遇差が不合理である理由を説明し、企業側は待遇差が適切である根拠を説明するなど双方が立証責任を負う。労働者側からは「立場が強い企業側にだけ、立証責任を負わせるべきだ」との声も上がる。ただ論点整理案は現行のルールを支持。「日本と欧州では賃金制度が異なる」として、企業にだけ重い立証責任を課すことに慎重な姿勢を示した。

派遣労働者の扱いでは、見解が分かれた。派遣社員の待遇を、派遣元と派遣先の双方の正社員に近づけるべきだとの見解を示した一方で、双方との格差是正を目指すと「派遣元企業の負担が増す」といった慎重意見も併記した。

政府が同一労働同一賃金を目指すのは、非正規労働者の処遇改善により低迷する個人消費を底上げする狙いがある。ただ経済界では単に非正規社員の待遇を良くして、人件費が増すことへの懸念は根強い。

日本企業はこれまで研修などのスキルアップの機会を正社員を中心に与えてきた。能力やスキルの向上など非正規社員の生産性向上と待遇改善を両立しなければ、同一労働同一賃金の流れは長持ちしない。」

 

日本経済新聞 電子版(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H53_Y7A300C1EE8000/)より