「契約社員格差訴えた裁判 一部不合理な格差認める」だそうです。

 

日本郵便で配達などをしている契約社員が、正社員と業務が同じなのに手当などに格差があると訴えた裁判で、東京地方裁判所は、一部の手当などについては正社員との間に不合理な格差があると認め、日本郵便に対して90万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。

日本郵便の東京と千葉、それに愛知の郵便局で勤務している契約社員3人は配達や集荷など業務の内容が正社員と同じなのに、外勤や年末年始の勤務の手当のほか利用できる休暇制度にも差があるとして、正社員の手当との差額の支払いなどを求める訴えを起こしました。

裁判では正社員との待遇の差が労働契約法で禁止されている「不合理な格差」にあたるかどうかが争われました。
14日の判決で、東京地方裁判所の春名茂裁判長は繁忙期の年末年始に働いた時の手当と勤務地が限定されている正社員にも支払われている住居手当については「契約社員に全く支払わないことに合理的な理由はない」と指摘し、3人に合わせて90万円余りを支払うよう日本郵便に命じました。
また夏と冬の休暇と有給の病気休暇についても「契約社員だという理由だけで制度がないのは不合理な違いだ」と認めました。

一方、外勤手当など6つの手当については「職務の内容が正社員と異なっている」などとして訴えを退けました。

原告の男性「非正規で働く人に意義ある判決」

判決のあとの会見で原告の契約社員の男性は「年末年始の年賀状配達の仕事では正社員と全く同じ仕事をしてもパートや非正規社員だけは何の手当もなく、許せませんでした。今回の判決は非正規で働く人にとってとても意義があるものだと思います」と話していました。
また原告側の代理人の弁護士は「日本の非正規労働者の未来に希望の光をともす、大きな意義のある画期的な判決になった。一方で認められなかった手当もあり、その点については不服なので控訴したい」と話していました。

日本郵便「詳細確認のうえ対応決めたい」

判決について日本郵便は「判決内容の詳細を確認したうえで、今後の対応を決めたい」というコメントを出しました。

正社員と非正規社員の格差議論に一石

正社員と非正規社員の待遇の差をめぐる裁判では、裁判所は、手当などの性質を個別に検討し、「不合理な格差」があると認められるものについては是正を求めています。

労働契約法は平成25年4月に改正法が施行され、正社員と非正規社員の業務の内容や責任の程度の違いといった事情を考慮したうえで、「不合理な格差」を設けることが禁止されました。

各地で起こされている裁判で、裁判所は、労働条件に一定の差を設けることは認めたうえで、その差が不合理なものかどうかを個別に判断しています。このうち滋賀県の契約社員の運転手が起こした裁判では、大阪高等裁判所が、正社員にだけ支給される手当の性質を1つ1つ検討し、「無事故手当」や「通勤手当」など4つについては格差が不合理だと認め、契約社員にも支払うよう命じました。

14日の判決でも、裁判所は、年末年始の勤務の手当については、「繁忙期に働くことに対して支払う」という性質に照らして、正社員と契約社員の間に差を設けるべきではないと判断しました。また住居手当についても、正社員の中には勤務地が限定され、異動に伴って引っ越しをする必要がない社員もいることを指摘し、契約社員にも支払うべきだと判断しました。

今後も同様の裁判で手当などの性質によって格差を認めない判断が示される可能性があり、正社員と非正規社員の格差をめぐる議論に一定の影響を与えるものと見られます。

 

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